「鳳少年」
俺を呼ぶ声・・・。





「少年よ、大志を抱け」





先輩と出会ったのは保健室だ。
俺は教科書で指を切ってしまい、傷薬を塗ってもらいに保健室に行った。
けれどそこには先生はいなくて、代わりに先輩がベットの上で
静かな寝息を立てながら寝ていた。
1分程度すると先輩は起きて、目を擦っていた。
「・・・・誰だ?」
俺を一目見て一言。
「あ、鳳と言います・・・先生いないんですか?」
「あぁ・・・会議があるからな。
お昼まで帰ってこないそうだ」
「あの・・・・1つ伺っても良いですか?」
「何だ?」
「もしかして、先輩ですか?」
「そうだ」
先輩は生徒会で副会長をやっていて
信頼も厚くて、成績優秀。
もう、非の付け所がないと言っても良いほどの人だ。
口調は男子みたいに話すところが有名で
スラリとのびた身体に綺麗に切りそろえられたショートカット。
いつか話していた「FC」に入っている男子の言う通りだな・・・。
「あの・・・先輩はどうして保健室にいるんですか?」
俺はフッと疑問に思ったことを口に出した。
「ん?あー・・・・貧血でな」
困ったものだと、最後に行った。
「大丈夫ですか?」
「あぁ。大分気分も良くなった」
そう言って小さく笑う。
『綺麗』と言う言葉が似合う笑顔だったな・・・・・。
「そう言う鳳少年はどうしたのだ?」
「あ、俺は指を怪我したので薬を塗ってもらいに・・・・」
「そうか」
先輩はベットから出て、どこかの扉へ行った。
そこでガサゴソ何かあさり始めた。

「鳳少年。こっちに」
そのまま先輩の所へ行く。
「怪我した手を出してくれないか?」
「あ、はい」
素早く手を出す。
先輩は器用に傷薬を塗って仕上げにバンソーコーを張ってくれた。
ここで1つ・・・。
先輩・・・どうしてくず薬に場所とか分かるんですか?」
「ん?まぁ・・・昔はここでよくさぼってたからな」
今・・・なんて言いました?
サボってたって・・・・。
「そんなにビックリすることはないだろ・・・・」
「いや、しますって」
「何故?」
「生徒会副会長で信頼が厚いと聞いているので・・・」
「クッ・・・・ククク・・・」
先輩は必死になって笑いをこらえていた。
何がそんなに可笑しいのやら。
「鳳少年、私だって人間だぞ」
「はあ」
「ここでサボっていたのはちょっとした反抗でな。
しばらくしたら、真面目に授業に出るようになった
それだけだ」
それだけって・・・・。
そこがそれだけなのか。

「鳳少年、暇があれば昼休みの中庭に来ないか?」
いきなり言われてビックリした。
「何故ですか」
「興味を持ってな・・・それと、もっと話してみたいから」
「いいですよ。明日からでも行きます」
本当か?と先輩はビックリして行った。
その表情が少し可愛かった。







「おーとりしょうねーん?起きてるかー?」
「起きてますよ」
そうか、と一言言って俺の隣に座る。
今は昼休みで、ここは中庭の比較的涼しい場所。
あの出会いから数週間が経って、俺は『先輩』から『先輩』
と呼ぶようになった。
先輩が、名前で良いと言ったのもあるかな?
特に用事がなければ、俺は毎日中庭に来て先輩とお昼を食べたり
話しをしたりした。
そのうちに、先輩の意外な過去が明らかになった。



「私も昔は運動部に所属していたんだよ」
「何部ですか?」
「陸上部」
「足が速いんですか?」
「いや、違う」
「じゃあ・・・・あ、もしかして・・・」
「分かったか?じゃせえので言うぞ。
せーえの」
「「跳躍力」」
「よく分かったな・・・・」
「まぁ・・・・それで、何の種目に出ていたんですか?」
「高飛びに・・・・」
「じゃあ何故やめたんですか?」
「大会の日に・・・不正をしたと言われて・・な・・・・」
正直言って驚いた。
先輩に限ってそんなことはないとは思うけど。
「私は・・・やっていないのに・・・・
でも・・・・・もう、仕様がないことだ・・・・」
先輩は哀しそうに空を見上げていた・・・。
切ない思いが俺にも伝わってきた・・・。
「そういえば、鳳少年はテニスをやっているそうだな」
「ええ・・・まぁ・・・」
「がんばれよ」
頭にポンッと手を乗せて、はにかんだ笑顔を見せた。
はい、と俺は返事をした。



「実を言うと私は昔、不良に属していたのだよ」
「え!?」
先輩は謎が多すぎる・・・・・。
「はは・・・驚くか?
私の過去を知らない奴は大抵驚いているからな」
「・・・・・はあ・・・・」
「何だ?そのため息は」
「気にしないで下さい」
「ふむ・・・・」
ギューっと俺のほっぺを引っ張る。
「なにふるんひぇふか?(何するんですか?)」
「ため息の理由は?」
「・・・・しぇんはいのかこほ、いろいろあるんひゃなーっひょ
(先輩の過去も、色々あるんだなーっと)」
それから、俺のほっぺを引っ張っていた手は離された。
ほっぺが少しヒリヒリした・・・。
「確かに皆よりは、経験豊富だぞ」
「喧嘩も強そうですね」
そしたら頭を小突かれた・・・。







「鳳少年、何をしているのだ?」
昼休み、俺は例のごとく、中庭に来ていた。
「あ、いえ・・・暇だったので本を読んでたんです」
「そうか」
先輩は俺の隣に座って、顔をジーっと見てきた。
「な、なんですか?」
「いや・・・綺麗な横顔だと思ってな」
フッと先輩は笑った。
その時・・・俺の中に何かが起こった。
言葉に出来ないけれど・・・でも、引っかかる感じで・・。

それが何か、次の日になって分かった。
昼休みに先輩の顔を見て、全身が熱くなる感じがした。
直感的にこれは『恋』だとわかった・・・・。
と、同時にどうしようにもなく、切ない気分になった・・・。
多分先輩は俺のことを『可愛い弟』くらいにしか見ていないから。
それでも俺は先輩のことが好きでたまらなかった。
「鳳少年、どうかしたのか?」
「何でもないんです」
「そうか?」
先輩は納得がいかないと言う顔をしている。
「ただ、ちょっと考え事をしてただけですから」
一生懸命笑顔を作る。
「・・・・ふむ」
でも、先輩は俺を心配そうに見つめていた。









結局、ぎこちない関係になって・・そのまま数カ月が過ぎた・・・。
それでも俺は毎日中庭に来た。
先輩は優しく接してくれたし、色々な相談事にものってくれた。

先輩は、好きな人とかいるんですか?」
「ん?ああ。いるぞ」
ショックを受けた・・・。
それでも・・・・。
「どんな人ですか?」
「ん?そうだなー・・・・
弟みたいに可愛い奴で、それでもどこか格好いいところがある
それでいて、生意気な奴だ」
先輩はとても輝いていた。
やっぱり・・・・好きな人のことだからな・・・。
「初めて出会ったのは保健室だったな」
ん?
「そいつは・・・・銀髪で背が高くて、テニスをやっているんだ」
先輩・・・それって・・・・」
「ん。鳳少年、私からの告白だ」
返事は?っと聞かれた・・・・。
「・・・・・もちろん、俺も先輩が好きです」
「まさか・・・良い返事だとは思っていなかったぞ・・・」
「それは良かったですね」
「ふむ・・・そうだな」
先輩」
「ん?」
バサッ・・・。
俺は先輩に覆い被さるように抱きつく。
「俺・・・・嬉しいッス」
「ちょ・・・鳳少年?」
先輩・・・・名前で呼んでください」
「・・・・・・」
しばしの沈黙、の後。
「何ですかその間は・・・・
名前で呼ばなかったら、このままでいますよ?」
「それは・・・・困る・・・・」
「だったら」
少し起こったような口調で言ってみる。
「・・・・ちょ・・・・・・う・・・・・
・・・・・・・鳳少年・・・・・」
先輩・・・・・はぁ・・・・」
「すまない」
「いえ。少しずつ慣れていって下さいね」
「・・・・分かった」
「約束ですよ?」
最高の笑顔で言ってみる。









そのあと、は鳳のことを『鳳少年』から『長太郎少年』と呼ぶようになったそうです。
進歩・・・・あるのか?








END.




あとがき。


突発的思考で・・・・どこまで突っ走るつもりなのやら・・・・・。

鳳少年、良い響きじゃないですか・・・・(自分だけでしょう)
私はちょたろうくんと呼びますが・・・・。
鳳少年も響きが好きでたまに呼んでいます。
ごくたまにですが。
この作品、比較的書きやすかった?(聞くな)


最近気がつきました・・・・。
私、普通のヒロインが書けないことに。
どうしても一癖も二癖もある設定になってしまう・・・。
はぁ・・・・。


それでは!






















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