生徒会長4


止まらない涙と格闘しながら、近づいてくる足音にビクビクしていた。
こんな姿を他の誰かに見せたくなかった。

別に、今誰かに泣き顔を見られても、どうこうというわけではない。
事情を知っている人なら尚更だ。
もし、事情を知っている人なら、あんな事があったあとだからしかない、だとか
女の子だからしかないとか、色々思うに決まっている。

自分でも分かっている。
これは強がりなんだ。
私の変なプライドなんだ。
そうは分かっていても、どうしようもなかった。
涙も止まらなかった。

シャー

カーテンの開く音。

「―――」
声が、出なかった。
目の前にいたのは――、跡部だった。
「あ、あと・・べ・・・?」
舌が上手く回らない。
泣いているせいもあって、声も変だった。
なんだか自分でもおかしくなってしまった。

「なんで・・・?」
予想もしなかった跡部の登場。
頭が混乱していた。何がなんだか・・・。
「・・・・・・」
跡部はしばらくジッと、私を見ていた。
今更だが、泣き後を見られていると思うと、気恥ずかしくて、下を向く。
「やっぱり、な」
どこかため息混じりの跡部の声。
やっぱりって、どういう意味ですか?

ため息をついて、跡部は口を開いた。
「強がってんじゃねえよ、――」
あまりに強烈な言葉・・・。
見透かされているとさえ、錯覚しそうだった。
いや・・・もしかしたら、私の考えは見透かされているのかもしれない。
そんなことをぼんやり考えていると、唇に暖かな感触。目の前には跡部の顔。
何が起こったのか・・・。理解するのに三秒。
その間にも、目の前の跡部は離れる様子を見せない・・・。
抵抗することも忘れていた――。

「い、今・・・あんた――・・・」
気がつけば、唇の感触も消え、跡部の顔も近くにはなかった。
もはや、泣くことなんて、忘れていた。
跡部とキスをしたことが頭を回る。
「やと、泣きやんだか」
跡部がニヤリと不敵に笑う。
泣きやんだって、あんた・・・その為に・・・?
「話聞いてる?いま、あんた私に」
「キスしたな」
私が最後を言う前に、跡部が答えを言う。
言う言葉を失って、わたしはぱくぱくと口を動かすしかない。
「なんでって、言いたいのか?」
その言葉に私は頷くことしかできない。
「・・・自分で考えろ」
お前は、そこまでバカじゃないだろ。そう言われた気がした。

「じゃあな、見舞いに来たけど、元気そうで何よりだったな」
そんなセリフを残して、跡部は保健室を去っていった。

嵐のようだった。
何がなんだか、自分でも分からなくて。
急な出来事がありすぎて、呆然とするしかなかった。

しばし呆然としていると、駆け足の音と共に演劇部のこと先生が来た。
、大丈夫だったか?」
先生にそう言われて、コクリと頷く。
「あれ?ちゃん、顔赤いよ?大丈夫?」
たぶんそれは、跡部とのヴェーゼのせいです。
だなんて、言えるわけがない。
「大丈夫・・・」
そう、やっとの事で呟くと、後は下を向くしかなかった。
「色々なことがあったからね、しかなないよ」
演劇部の子がそう言うと、そうだねっと、周りでも声がする。
、親御さんのに連絡して迎えに来てもらうか?」
「いえ・・・。酷い怪我ではないので、しばらく休んだら友達と一緒に帰ります」
先生への受け答えが終わると、私は火照った顔を冷やすために、横になった。





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跡部氏動きましたね・・・。
おいらビックリ。
って、私が驚いてどうするよ・・・。


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