君に会えて、よかったよ。



スノー・スマイル


「きーよーすーみー!」
一軒の家で、人の名前を呼ぶ少女が居る。
彼女の名前は
山吹中の3年で、現在受験生。
‘受験生’とは言うものの、山吹中は大学院まであるエスカレーター式の学校。
わざわざ、外部進学をする人は非常に少ない。
しかしは、今年、外部進学をするために受験をする。
周りには反対されたが、は自分の気持ちを、決意を持って周りを説得した。
説得が上手くいき、いよいよ後少しで本番。
そんなときに、本当は出かけたくはないのだけれど・・・。
は幼なじみ、“キヨスミ”の説得によって渋々、初詣に出かけることになった。

しかし、の幼なじみ、千石清純は一向に家から出てこない。
年明けの、三十分後――12時30分に千石の家に来るように言われたはずなのに・・・。
しかたなく、彼女は幼なじみの名前を呼ぶ。

「清純!聞こえてるんでしょ?早く出てきなさい!」
まるで、子供を叱る母親のように声を上げる。

「こないんなら、私帰るよ?」
その一言で、ドタドタと騒がしい音が家から聞こえてくる。

「ゴメンちゃん!」
大きなかけ声と共に、バタンと扉が開いて、千石が現れる。

「遅い!」
「ゴメン、ゴメン」
「ごめんじゃないわよ!三十分も待ったんだから!
 あんたいったい、何してたのよ」
そう言っては、自分の腕時計を見せる。
時計の針は、丁度1時の所を指している。
「ごめん、これ作ってたら遅くなちゃって・・・・」
千石はへらへらと笑いながら、の手を持って何かを渡す。
「・・・?これ・・・」
千石の手が放れた後、自分の手を見ると、小さなヒモがあった。
「もしかして、これってミサンガ?」
は自分お手にある、青いミサンガ。
所々ほつれていて、千石の苦戦の後が見える。
は千石かをまじまじと見てしまった。
千石は恥ずかしいという顔をしながら、苦笑いをする。

「本当はクリスマスにプレゼントするはずだったんだよね」
実にばつの悪そうに言う、千石。
しかし、そんな千石の言葉が耳に入っていなかったのか、は突然泣き出した。

「う、わっ!ちゃん泣かないで・・・!お願いだから」
困ったような千石の顔に、は思わず吹き出してしまう。
「あー、良かった」
心底安心したように千石が言うと、または笑ってしまう。
「ひど・・・せっかく人が頑張ったって言うのに」
「ごめん、ごめん」
「いや。いいけどさ。
 泣くなら、高校受かってから、だよ」
そう言って、千石はバチンとウインクをしてみせる。
それも千石らしくて、は微笑んだ。

「さ、そろそろ行こうか」
千石からもらった、ミサンガを腕につけ、はゆっくりと歩き出す。


しばらくすると、近くの神社が見えてくる。
「やっぱり人多いねー」
がそう言って、神社を見る。
「――と、おもった・・・」
「え?」
千石が何かぼそりと呟いたの聞いて、は聞き返す。
「んー、やっぱり今日は寒いと思ったって、言ったんだよ」
千石は、視線を空に向けた。
薄暗く、黒と言うよりも灰色がかった空にちらほらと白いものが降ってくる。
「・・・雪!」
はなんだか嬉しくなって、小さく声を出す。

ちゃん!」
がしばらく雪を見ていると、千石がの名前を呼ぶ。
振り向くと、そこには――・・・。



あまりに彼の笑顔と雪が合っていたから。


思わず胸が高鳴った。




fin.





あとがき

こ、こんなのでいいのか?自分!しっかりしろ!

それでは皆様、明けましておめでとうございます。



感想があれば・・・。
誤字脱字もあれば教えて下さい。

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