あたしとあいつの出会い・・・・・・。






『いつの間にか』




「ねぇ知ってる?今年の一年の中に、IQ175の天才が居るんだって」
「知ってる知ってる。何で頭がいいのに大学行かないんだろう?」
「そんなの私が知るわけ無いじゃない」

こんな会話が廊下でされていたのは、入学式が終わってすぐのことだった。
噂というのは恐ろしい早さで学校中に広まるモノで、今は尾ひれが付いて
元の噂が跡形もなく消えているのだ。
今は、「IQ200以上の超天才が入学してきた。大学に行かない理由は変人だから」



「天才がこの学校に入学してくる」
誰かがそう言ったのが始まりだった・・・。







は眉間に皺(しわ)を寄せながら教室にいた。
とても居心地が悪そうに、周りを見ていた。
達、1年生が入学してから2週間が過ぎた。
生徒のほとんどがクラスにやっとなじんだという感じで、
今は慣れない部活などに励んでいる。
さん」
二人ほどの女子がに近づいてきた。
さんって、天才なんでしょ?」
急に話をし始める。
その言葉を聞いてはとても怪訝そうな顔をする。
「中学校の授業はすぐ分かって、退屈じゃない?」
もう一人の女子が聞いてくる。
「・・・・・・・・そんなこと無いけど?」
うっそだー、と声をそろえて女子二人は言う。
その様子をは嫌そうな顔をした。
そこへタイミング良く、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った。
に近づいていた二人は急いで自分の席に戻っていた。
は軽く、ため息をついたのだった。


宍戸 亮がと出会ったのは、2年生になったときだ。
クラスが一緒になり嫌でも顔を合わせることになる。
別に宍戸はのことを嫌っているわけではないのだが・・・・。
「IQ175の天才」と言うことは知っていた宍戸。
だからのことは周りと一緒で、「天才だから何でも出来る」と言う目で見ていた。
しかし、宍戸はの人間らしい一面を見ることになる。




「だれなのよ!?」
の甲高い声が教室中に響いた。
宍戸は驚いての方を見た。
の教科書には、落書きがされていた。
ページが黒く塗りつぶされていたり、「天才さんは教科書なんて必要ない」
などと言うことが書かれたりしていた。
悪質なイジメである。
は教室中をにらみつけて、辺りの様子を見た。
周りはひそひそ話をしたり、何が可笑しいのか、クスクス笑ったりしていた。
は拳を強く握って、怒りに耐えていた。

昼休みのことだった。
宍戸は購買へパンを買いに行っていったときである。
どこからか、鳴き声が聞こえたのである。
気になった宍戸は鳴き声のする方へ行ってみた。

「・・・・・・?」
ここは美術室の奥。
そこにはいた。
目には涙が沢山あふれ出している。
「ど、どうしたんだよ」
聞いてみるモノの、解答はない。
はただ泣いているだけ。
宍戸はあわてているモノの、のそばにいてあげていた。
、ここにいてもしょうがねえから屋上に行くぞ」
宍戸がそう言うとはコクリと頷いた。

屋上に来て、と宍戸はしばらく無言で居た。
は一向に泣きやまなかった。
予鈴もなり、5限目のチャイムがなっても宍戸はのそばにいた。
しばらく沈黙した後、宍戸が口を開いた。
「どうしたんだよ」
「・・・・・・・・・・」
「言いたくないんなら別に言わなくてもいいだけどよ・・・」
「・・・・・みんな・・みんな・・・私のことを「天才」としか
 見てくれない・・・」
「・・・・・・」
「私だって普通の人間なんだよ・・・?
 母さんや父さんにも大学に行けって言われた」
「何で大学に行かなかったんだ?」
「私、まだ14だよ?・・・・・・・同い年の子と一緒に遊びたいんだよ・・・・」
「でも、それが叶わないのか・・・?」
はゆっくりと首を縦に振った。
少し間があって、は口を開いた。
「確かに私はIQが高いかもしれない・・・。でも、・・・・・だからといって
 私は『普通』の人間だよ!?」
は泣きながら宍戸に訴えた。
自分は何処にでもいる人間なんだと・・・。
「・・・・いいんじゃねえの?」
「・・・・・・・何が?」
は天才と言っても、努力を怠らなかっただろ?」
「・・・・・・・・」
「提出物だって、ちゃんと出してるしよ・・・」
「うん」
「それに遊びてえのなら、から声を掛けてみたらどうだ?」
「え・・・・?あたしから?」
宍戸はゆっくり頷く。
「もしかしたら、と気が合うやつがいるかもしれないだろ?」
「・・・・・・・・・・」
しばらくは驚いたように、宍戸の顔を見た。
宍戸は恥ずかしそうに顔を紅く染めた。
「ありがと・・・」
は小さな声でそう言った。



その後の二人は、普通の友達以上に仲が良くなった。
「亮・・・ここからここまで、全部答え違うよ?」
・・・それは俺に対しての嫌味を言っているのか?」
「いや・・・そんなつもりは・・」
「だったら、教えてくれ」
「うん。わかった!」

自身、宍戸を信用していた。
自分のことを初めて「天才」ではなく、「 」としてみてくれた。
それが凄く嬉しかったのだ。


そして・・・いつの間にか、知らぬ内に
二人は恋人になったのだった・・・・。






END




意外に人気だった、「君が君であるために。」
実を言うと、「君が君であるために。」は、削除しようかと考えたことがあったんです。
あまりにも駄作すぎて・・・。
でも、票がは言っていたので削除しません。

ちゃんはIQ175の本当の天才少女、と言う設定にしています。
元からそのつもりだったのですが・・・。
イメージが崩れた、という方は言って下さい。
それでは。


何か感想があれば・・・。
メールアドレスがあれば、返信メールついてきます。


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